WE
私達は地球を離れ外から見つめ直すことで初めてこの惑星を故郷・ホームプラネットだと感じることができるはずだ。ホーム内で戦争が起きている。ホームでは再生不能の環境破壊が続いている。私たち人類の大きな課題は国家を超える地球人意識が醸成されなければ解決不可能ではないだろうか。
しかし今日までに宇宙に行って地球を見たことがある人間は600人程度しかいない。「宇宙から地球を見る体験」は非常に限られた人だけが得ることができるものだ。WEはこの体験を民主化し、世界中の人が地球を見る体験にアクセスできるようにする、「私達の、私達による、私達のための宇宙プロジェクト」だ。そしてこのプロジェクトに参加するすべての人がWEという名のコミュニティ、アートコレクティブのメンバーだ。
Mission
地球を宇宙から見ることで人の心は大きく変化する。国籍、民族、文化、宗教を超えて「地球人」として覚醒する。地球をひとつの生命のように感じる。そして地球が脆く薄い大気に守られていることを目撃し地球の環境問題を直感的に理解する。そして地球が平和であることを強く願う。この精神変容を心理学者はオーバービューエフェクト (The Overview Effect) という。このオーバービューエフェクトを地上で起こすことがWEのMissionだ。
地球を見て起きるマインドシフトは人によって様々だが、多くの人が地球環境を守りたい、地球から戦争を無くしたいと感じる。WEはWorld Environment、War Endsの頭文字でもある。この2つのメッセージに共感してくれる方が私達WEのメンバーだ。
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Shooting
写真・動画・VRのテクノロジーの進化が「現実を限りなくそのまま再現する」こと可能にしようとしている。人間の視覚認識力の限界に迫る基準で撮影すること、再生することが現実的になってきた。写真出力サイズ10M、映像ディスプレイサイズ100Mを近距離で観る圧倒的視覚体験、現実と区別がつかない程のVR体験、それは複数カメラ同時使用の超高画素撮影で可能になる。ターゲットは6億画素の静止画、48Kの動画、60PPD以上をHDMで実現するVR動画だ。
Space XのCrew Dragonに搭乗、国際宇宙ステーション長期滞在し、写真・動画・VRを撮影する。
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Exhibition
写真・動画・VRで「地球を見る」体験装置としてWEパビリオンを構築する。
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Movie
24Kで撮影し、マシンラーニングさせたAI超解像処理を行い48K相当の映像を制作。横幅100Mのディスプレイに地球を映し出す。3mの距離で100Mのディスプレイを見ると、それは400Km上空のISSから地球を見たときの体験とほぼ同じ視覚体験となる。その後、後方に移動すると地球の全貌が見えてくるはずだ。
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360VR
HMDを通して映像を見るとき、60PPDを超えると人間の細部認識能力を超えると言われている。2026年には広視野角で60PPDを超えるHMDが調達可能になると想定し、360度で必要な画素数で撮影を行う。
(PPD Pixel per degree 画角一度あたりのピクセル数)
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Message
これまで宇宙から地球を見た人間は各国の宇宙飛行士と僅かな数の宇宙旅行者のみである。
漆黒の空間に浮かび、ゆっくりと回転する奇跡の青い惑星。
「地球という惑星を見る」ことで人の心は大きく変化する。
国籍、民族、文化、宗教を超えて「地球人」として覚醒する。
今日まで何百万枚という地球の写真が撮影されてきたが、心を震わせる写真は多くない。宇宙飛行士の視覚体験を精緻にキャプチャーし、地上で再現しようというミッションが今まで計画されなかったからだ。撮影は「再現」目的ではなく「記録」目的であった。
いま宇宙新時代が訪れるという機運に世界は湧いている。宇宙利用は急速に進む。10年後には民間人500人が宇宙を体験しているかもしれない。しかし、それは宇宙飛行士600人に超富裕層が500人加わるだけではないだろうか。素晴らしいことだが、それで「地球人の意識」が大きく変わるだろうか。
子供たちに「目を輝かせる夢」を与えられるだろうか。民間人と民間企業が協力して宇宙に行くのならば、政府や宇宙機関が注力してこなかった領域のテクノロジーで「宇宙から地球を見る」という夢を社会に還元するべきではないか。
「宇宙から地球を見る」ことで私達のホームプラネットを次世代に美しいまま残したいという思いが心に広がる。サステナビリティの本を読むことで、その重要性を理解することはできるが、地球という生命体を直感的に捉えることは難しい。「見る」ことで初めて地球を感じ、地球の未来を考えることができるのではないだろうか。本プロジェクトは映像体験によるサステナビリティの啓蒙プロジェクトでもある。そして私達の故郷である地球で戦争が無くなることを強く希求する平和プロジェクトでもある。
轟音を響かせ上昇するロケットで宇宙に行くという冒険は当分の間限られた人にしか体験できない。しかし、宇宙から地球を見る視覚体験は共有できる。
このプロジェクトは「宇宙から見る地球の視覚体験をキャプチャーし地上で再現する」という単一ミッションを持った宇宙飛行士によって実現可能となる。自らの資産で宇宙を楽しみにいく宇宙旅行者でもなく、NASA AstronautでもJAXA Astronautでもない。宇宙体験をすべての人と共有するミッションを遂行するWE AstronautとしてISSで活動したい。それが私にできる最大の社会貢献であり、最大の夢である。このプロジェクトが成功したならば、宇宙活動のフロンティア全てに同水準以上の撮影装置を設置し、有人・無人の撮影を行うことを計画したい。月へ、火星へ、太陽系の外へ。私達の宇宙視覚体験は広がっていくのだ。
WE代表 高松 聡
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高松 聡
アーティスト・写真家 1963年生まれ。筑波大学基礎工学類を卒業後、株式会社電通に入社。05年クリエイティブエージェンシーGROUNDを設立し、代表取締役兼クリエイティブディレクターとして数多くのブランドを担当。カンヌ広告祭など国際広告賞で数多くのグランプリや金賞を受賞。世界初の宇宙ロケCMの撮影を2001年にポカリスエットで実現。2回目の宇宙ロケCMでは「反戦」をテーマとしたカップヌードル「NO BORDER」を制作、「地球のサステナビリティ」「未来の管理社会」をテーマにしたカップヌードル「FREEDOM」などを手掛け、広告作品でありながら社会性の強いキャンペーンを提示し続けた。2015年広告界を離れ、日本の民間人として初のISS(国際宇宙ステーション)搭乗資格を持つ宇宙飛行士となるべく、ロシア「星の街」で8カ月に及ぶ訓練を終了。現在は、写真家・アーティストとして活動する。2014年 東京都現代美術館 「ミッション[宇宙×芸術]-コスモロジーを超えて」。に出展。2020年個展「FAILURE」。2024年アートコレクティブWEを設立。